川口 剛( かわぐち ごう)
札幌市時計台傍のBAR「バルコ札幌」のオヤジ/プランナー。 2006~2016年に札幌の飲食店約100店を食べ歩く催し 「さっぽろタパス」を企画・開催。「さっぽろオータムフェスト」初開催に向けた企画協力および全年参加、2009年に市民出資でコミュニティBAR「バルコ 札幌」を設立するほか、北海道の風土・環境を享受して生活を楽しむための多様な地域づくりや食に関する事業に従事。スペインをはじめヨーロッパやア 3 ジア各国の食文化への理解も深く、著書に『スペインのBARがわかる本~グラナダ・バルの調査記録報告書』、『ワンテーマ指さし会話 スペイン×バル』。
北海道は、美しい「風景」の宝庫だ。それに美味しい「食」にも溢れている。これまでさまざまな土地を訪ねて食べて飲んできた私でも、そう思う。
だから、そんな「風景」の中で「食」とともに過ごす「時間」をつくることが できれば、もっともっと北海道を楽しめ るのでは?
牛たちに感謝しながら、
牧場でチーズとワインを楽しむ。
ブドウ畑を前に、
ワインのつくり手と一緒に愉しむ時間。
どこまでも青い海に囲まれて、
獲れる逸品を食する口福。
北海道のその土地その地域にしか存 在しない唯一無二の「風景」の中で過ごす、 生涯忘れられない「時間」を・・・との想 いで、【Scenic BAR Hokkaido シーニック バー北海道】を昨年からスタートした。
私は「旅」が好きだ。視、聴、触、嗅、味。旅に出ると、五感を刺激される。
子どもの時分から旅行が好きで、これまで、日本各地、世界各国のさまざまな土地や地域を訪ねてきた。訪問先の情報が少なく、パスポートを手に期待と不安の狭間で未知の土地を一人旅していた頃から考えると、印刷技術が進化して旅行雑誌で美しい情景を気軽に目にする機会も増えたし、いまやインターネットの普及でWebサイトやSNSには各地の素敵な写真であふれている。
自宅のベッドで寝そべっていても、世界の情報は入ってくる。それでも、やはり旅には叶わない。視覚の肥しにはなっても、五感が刺激されることはない、と思う。
私は「食」が好きだ。美味しいものを食べて飲むと、カラダ全体が満たされる。
星付きレストランで堪能する食事でも、立ち飲み屋のカウンターで引っ掛ける一杯とツマミでも、昼休みのランチ定食でも、自分でつくる料理であっても。親や親類から「あなたは本当に美味しそうに食べるわね」とよく言われた幼少期から、おそらく人生の後半に入った現在に至るまで、食べて飲むことは、いつだって自分の五感とアタマとお腹を満たしてくれる。そして、いつしかその楽しみの中に、その食を産する風景や人をアタマに思い描くことも加わった。
スマホやタブレットを眺めているだけでは、五感が満たされることはないばかりか、ますますお腹が空いてくる。
そんな私は、旅してその土地の食を楽しむことをライフワークのように続けてきたが、突然、その自由が制限される日がきたので、それまでの旅と食を振り返ってみることにした。
すると、旅を想えば食を思い出し、食を思えば次の旅を想わずにはいられない、ことに気づいた。それらは、そこにしかない空間の中で食べて飲んで過ごす至福の「時間」なのだ。そして北海道は、そんな「時間」をつくる舞台=風景にあふれている。
みなさま、北海道の絶景を前にして過ごす「時間」をご一緒にいかがですか?